こんにちわ。
探偵歴20年の現役探偵です。
平成31年2月19日に最高裁判所で、世間をにぎわす判決が出ました。
「過去の不倫相手に「離・婚・慰謝料は請求できません!」
by最高裁判所
[speech_bubble type=”ln-flat” subtype=”L1″ icon=”detective.png” name=”探偵”]マジか![/speech_bubble]
[speech_bubble type=”ln-flat” subtype=”R1″ icon=”lawyer.png” name=”弁護士”]どういう事だろう![/speech_bubble]
[speech_bubble type=”ln-flat” subtype=”L1″ icon=”detective.png” name=”探偵”]弁護士さん(離婚)慰謝料の話ですね。[/speech_bubble]
[speech_bubble type=”ln-flat” subtype=”R1″ icon=”lawyer.png” name=”弁護士”]しっかり見ないといけないですね![/speech_bubble]
このニュースがyahoo!ニュースなどで報道され、お問い合わせが激増したので、法律にかかわる事ですが、背景と内容を私なりにご説明したいと思います。
これは少し前に出た、
「ホステスは枕営業があるので、浮気の慰謝料請求対象には当てはまらない」過去コラム と同じような問題で、
上辺だけをくみ取れば、まったく意味の違うものになりかねない判決と同じような内容です。
まず、結論から申し上げると、
浮気相手に慰謝料の請求は、できます!
浮気の慰謝料は、2種類あり、
- 離婚に対する慰謝料(離婚慰謝料)
- 不貞行為に対する慰謝料(不貞慰謝料)
慰謝料の請求には「時効」がある。
[speech_bubble type=”ln-flat” subtype=”L1″ icon=”man.png” name=”男性”]今日は彼女とホテルに行こ![/speech_bubble]
[speech_bubble type=”ln-flat” subtype=”R1″ icon=”woman.png” name=”女性”]浮気されたー![/speech_bubble]
[speech_bubble type=”ln-flat” subtype=”R1″ icon=”woman.png” name=”女性”]浮気したでしょ!慰謝料請求してやる![/speech_bubble]
[speech_bubble type=”ln-flat” subtype=”L1″ icon=”man.png” name=”男性”]慰謝料は払わなくてもいいんだよ![/speech_bubble]
[speech_bubble type=”ln-flat” subtype=”L1″ icon=”man.png” name=”男性”]知らないのかよ!浮気し放題![/speech_bubble]
[speech_bubble type=”ln-flat” subtype=”R1″ icon=”woman.png” name=”女性”]探偵さん!証拠とってください![/speech_bubble]
[speech_bubble type=”ln-flat” subtype=”R1″ icon=”detective.png” name=”探偵”]はい。油断しているので、かんたんに撮れます[/speech_bubble]
[speech_bubble type=”ln-flat” subtype=”R1″ icon=”lawyer.png” name=”弁護士”]はい。余裕で慰謝料をとりますね![/speech_bubble]
浮気をしても慰謝料は払わなくてもいいなど、バカな解釈をしないで!
今からこの事件の背景を書いていきますので、
浮気をしていたあなたは、夢(慰謝料払わなくていい!)から覚めます。請求する側は、あきらめないで!逃げ得は許さない!
浮気・離婚に関する慰謝料の種類(不貞慰謝料と離婚慰謝料)
まず、慰謝料の種類から説明していきたいと思いますので、ここがわからなければ、意味が分からなくなります。しっかり理解して下さい!
民法には、こうあります。
- 夫婦は同居し互いに協力し扶助しなければならない。
- また、夫婦間には貞操義務があり、貞操義務違反(姦通・婚外性交渉・不貞行為・浮気と言われる行為)は、離婚原因となり、不法行為となります。
- 夫婦間以外では、性交渉してはダメ。
夫婦外性交渉(夫婦以外とのエッチ)は、不法行為となり浮気相手も一緒に慰謝料請求の対象となるという意味です。
[speech_bubble type=”ln-flat” subtype=”L1″ icon=”lawyer.png” name=”弁護士”]どのような慰謝料がどのような相手に請求できるかを表にしました。[/speech_bubble]
(不貞)慰謝料 | (離婚)慰謝料 | |
相手への請求 | できます | できます |
浮気相手への請求 | できます | 状況に左右される |
この表から、慰謝料の内容の説明をします。
不貞慰謝料とは(不貞行為や浮気に対しての慰謝料)
かんたんに言うと、性交渉に対しての慰謝料です。
不法行為である性行為そのものが慰謝料の請求対象になるのではなく、浮気を知ったことに対する慰謝料。
最高裁判所の昭和54年3月30日の判決
夫婦の一方の配偶者と肉体関係を持った第三者は、故意または過失がある限り、右配偶者を誘惑するなどして肉体関係を持つに至らせたかどうか、両名の関係が自然の愛情によって生じたかどうかにかかわらず、他方の配偶者の夫または妻としての権利を侵害し、その行為は違法性を帯び、右他方の配偶者の被った精神上の苦痛を慰謝すべき義務があるというべきである。
[speech_bubble type=”ln-flat” subtype=”L1″ icon=”lawyer.png” name=”弁護士”]この判例は、「故意、過失があれば、問答無用で払ってください」という恐ろしいものです[/speech_bubble]
離婚慰謝料とは(離婚に対しての慰謝料)
夫婦が離婚となったので、慰謝料を請求するというもの。
心情的には、浮気が原因で離婚となった場合、原因となった「浮気相手にも慰謝料を請求したい」というところが本音だしできて当然だと思います。
[speech_bubble type=”ln-flat” subtype=”L1″ icon=”lawyer.png” name=”弁護士”]実は、この離婚慰謝料を浮気相手にという具体的な判例がありません。[/speech_bubble]
過去の不倫相手に離婚慰謝料を請求したが、1審、2審は認められたのに最高裁判所では逆転で棄却という判決
東京高等裁判所 平成31年2月19日判決 請求棄却
奥様の浮気を知った後も婚姻生活を続け、奥さんが出て行く。
その後、離婚。
その(離婚)慰謝料を、浮気を知った約5年後(時効満了)に浮気相手へ、200万の慰謝料を請求した裁判。
この夫婦がどういう経緯で裁判になったのか?
この夫婦の結婚から、浮気、別居、調停、離婚、裁判までの背景
平成6年3月 | 結婚(婚姻届けを提出)する。 |
平成6年8月 | 長男、誕生。 |
平成7年10月 | 長女、誕生。 |
結婚後、同居していたが、仕事の為にご主人が帰宅しない事が多くなった。 | |
平成20年12月 | 奥さんが、勤務先にて浮気相手と出会う。 |
平成20年12月~ | 夫婦は、セックスレスの状態になる。 |
平成21年6月~ | 奥さんの職場の男性と浮気がはじまる。 |
平成22年5月 | ご主人が、浮気を知る。 |
浮気の関係終わり、ご主人は奥様との同居を続ける。 | |
浮気を知った日から、3年が経過し【浮気に対する時効満了】 | |
平成26年4月 | 長女の大学進学と同時に、奥さんは別居する。 |
半年間にわたり、奥さんは帰宅することも連絡をとることもしない。 | |
平成26年11月 | ご主人が、横浜家庭裁判所に、夫婦関係調整の調停申し立て |
平成27年2月 | 離婚の調停が成立。 |
浮気を知った日から、約5年弱が経過。 |
この夫婦の年表で、浮気・不貞行為の発覚後の生活からわかったこと
浮気を知ったとき、すぐに「相手に慰謝料を請求する」や「別れることの誓約書を書かせ、違約金の設定」など、何らかの行動を起こせばよかったが
- ご主人が優しかった?
- 奥さんの言葉を信じてた?
- 実際にその時は、2人がやり直す方向で話がまとまった?
理由はわからないですが、時効が過ぎるまで行動を移せなかったのが、よくなかった。
また、いくつかのポイントがあると考えられます。
- 浮気を知った日から5年(時効後)が経っている。
- 不貞行為に対する慰謝料は、時効であることを認識していた。
- 時効が成立していない離婚に対する慰謝料を浮気相手に請求した。
浮気を知った約5年後に浮気相手へ、離婚慰謝料を請求した裁判の判決
判示事項
夫婦の一方が他方と不貞行為に及んだ第三者に対し離婚に伴う慰謝料を請求することの可否裁判要旨
夫婦の一方は,他方と不貞行為に及んだ第三者に対し,当該第三者が,単に不貞行為に及ぶにとどまらず,当該夫婦を離婚させることを意図してその婚姻関係に対する不当な干渉をするなどして当該夫婦を離婚のやむなきに至らしめたものと評価すべき特段の事情がない限り,離婚に伴う慰謝料を請求することはできない。参照法案
民法709条,民法710条
平成29年(受)第1456号 損害賠償請求事件 平成31年2月19日 最高裁判所第三小法廷判決(裁判所から引用)
判決から見る離婚慰謝料請求できないの意味
今回の最高裁の判決では、
「浮気・不貞行為による共同不法行為よりも、時間が経っているので、離婚に関しては夫婦間の問題」
というのが、強く残ったかな。と思います。
判決から言うと、
奥さんが同僚と浮気・不貞行為、特段の事情がない限り離婚緒伴う慰謝料を請求できません。
浮気した事と離婚したことは、別でしょう。
特段の事情(離婚させようと意図的にしていたこと)がないのであれば、離婚していたのでは?という認識。
浮気・不貞行為があったからと、同僚のせいにすることは、ちょっと違うのでは!時間も5年も経っている。
離婚は夫婦間で決められるべき事情
浮気の有無があったとしても、この夫婦が離婚した原因が、浮気相手と直結するのか?という問題。
関連ページ:【浮気相手から慰謝料請求された!】どうすればいい?対処法や支払い義務について
浮気相手への離婚慰謝料請求はできない!離婚と不貞の慰謝料の違い まとめ
今まで、慰謝料のグレーだった部分が明確となった。
これに尽きると思います。
ざっくりいうと、今回の判例がなければ、このような説明も必要なかったと思います。
なぜなら、浮気が発覚し双方に共同不法行為として慰謝料を請求すれば、離婚した場合、慰謝料が離婚しない場合よりも高額に設定されていました。
ですが、今回は慰謝料を分けたこと
- 浮気・不貞行為に対する時効は成立している事がわかっている
- 時効が成立していない、離婚の慰謝料を請求したい
これが、今回の問題になっています。
浮気を知ったとき、すぐに慰謝料の請求や相手への通知(結婚してるので会わないで、続けるなら違約とるよ)が必要です。
※ これは、探偵の考えであって、法曹の方の意見ではありません。
「そうなんだ。ちょっと弁護士さんに確認してみよう」
程度に考えてください!
法律的なご相談は、アーカス探偵事務所の顧問弁護士または提携弁護士さんにご相談ください。